敵かどうかの見分けがつきにくい異物、自分の体内で作られた変異細胞やがん細胞、自分の細胞の中に入り込んだ結核菌やリステリア菌などの細菌やウィルスは、判別が難しいため、あるいは構造が丈夫なため、液性免疫の抗体では処理できず、見分けられるように教育され活性化されたマクロファージやキラーT細胞が敵を殺します。この免疫の仕組みを細胞性免疫といいます。クロレラエキスは細胞性免疫力を高めて敵と戦うことがわかっています。その中でも、ウィルス感染に対するクロレラエキスの働き、細菌感染に対するクロレラエキスの働き、そして抗腫瘍に関するクロレラエキスの働きについてご紹介していきます。
現在、がんによる死亡率は日本人の死因第1位で、今後も増加することが予測されます。そのためがん対策のためのさまざまな健康食品や機能性食品などの開発も盛んになっています。腫瘍に対する免疫機能を活発にする効果を持つといわれる成分には多糖類や糖たん白が多く、チクゴ株クロレラにもこれらの成分が含まれていることから腫瘍に対する効果を検討しました。
単細胞緑藻 Chlorella vulgaris を経口投与することによる抗腫瘍効果とその作用機序
基礎と臨床 18:515-520 (1984)
【投与条件1】
Ddy、ICR、ddn の3種類のマウスにチクゴ株クロレラ10%を添加した飼料を与え、ザルコーマ180(S-180)を移植し、11日後の腫瘍増殖を対照群と比較しました。
チクゴ株クロレラはいずれの系のマウスの場合も、腫瘍重量はチクゴ株クロレラ投与群が有意に小さく、チクゴ株クロレラを食べることによって抗腫瘍効果が認められました。
【投与条件2】
クロレラエキスを1ヶ月間飲ませた後、腫瘍(Meth A)を移植しその後の生存日数を対照群と比較しました。
クロレラエキス投与群は対照群に比べて明らかな生存日数の延長が認められました。
クロレラエキス投与群のうち腫瘍が直径1cm以上になったマウスは最終的に死亡しましたが、直径1cmに満たないで退縮し消失したマウスもいました。