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造血効果

白血球は、細菌やウィルス感染、発がん、その後のX線や抗がん剤による治療、さらには肉体的・精神的なストレスなど、様々な敵との戦いによって、すぐに消耗してしまいます。白血球の寿命は、短いもの(好中球)で約1~3日。そのため、白血球の補充は非常に重要です。クロレラエキスはこの白血球の補充を速やかに行い、活性を高める働きがあります。

造血幹細胞におけるクロレラエキスの効果

健康な人でも毎日変異細胞が生まれているといわれています。しかし、生まれた変異細胞は体内の生体防御作用が働くために、その都度排除されているのです。
この生体防御は主として白血球の作用に頼っています。白血球は骨髄などで絶えず作り出されていますが、慢性疾患やがんなどの治療のための薬剤投与によって一時的な造血機能の障害を起こすと、白血球の減少を招き生体防御の機能が著しく低下します。

これを正常な状態に戻すためには、速やかに造血幹細胞の増加を促し、白血球を増やすことが必要となります。この造血幹細胞に対するクロレラエキスの効果を検討しました。

研究報告-造血効果
クロレラエキスの摂取で血液の元となる造血細胞コロニー刺激因子と造血幹細胞数が増加しました

クロレラエキスのマウス生体防御能に及ぼす影響
(2)CSF活性増強作用、(3)血液幹細胞増強効果 1989年 日本薬学会第109年会

【投与条件1】
クロレラエキスをマウスの腹腔内、皮下あるいは静脈内に投与し、血液中の造血細胞コロニー刺激因子(CSF※)活性がどのように変化するか時間を追って調べました。
※CSF(コロニー刺激因子)は血球細胞の増加を促す造血の因子です。体の血液細胞が不足すると、造血幹細胞などの細胞にCSFが作用することにより新しい血液細胞が補給されます。

クロレラエキスによって造血を促進するCSF活性が高まることを確認

造血を促す血液中のCSF活性は、腹腔内にクロレラエキスを投与すると4時間後に静脈内ではさらに早くからピークが認められました(図1)。皮下投与では、1~24時間の範囲で3つの緩やかなピークが認められました。このようにクロレラエキスはCSF産生細胞を刺激して、CSF産生能力を高めることが明らかになりました。

【投与条件-2】
マウスに抗がん剤シクロフォスファミド(CY)を投与して、造血幹細胞数を減らした後、クロレラエキスを隔日で連続投与して、脾臓細胞や常在腹腔内細胞での造血幹細胞数(CFU)の回復を調べました。

クロレラエキス投与で造血幹細胞数が増加

造血幹細胞数が極端に低下したマウスにクロレラエキスを投与すると、脾臓中の食細胞(好中球やマクロファージ)を生産する造血幹細胞(CFU-GM)数や食細胞だけではなく、赤血球や血小板なども生産する造血幹細胞(CFU-mix)数を回復させることが明らかになりました。
この実験により、抗がん剤などによって造血能力が低下したときに、クロレラエキスは速やかに造血能力を回復させることが明らかになりました。

このようなクロレラエキスの効果はX照射によって骨髄幹細胞がダメージを受けた場合にも認められています。

研究報告・造血効果(2)
クロレラエキスは強い低温ストレスを与えて低下した骨髄中の顆粒球・マクロファージ前駆細胞数を回復させました。 Immunopharmacology and Immunotoxicology 26(3): 455-467 (2004)

【投与条件】
マウスを4℃の低温に2.5時間おき、強いストレスにさらした直後、大腿骨から骨髄細胞を摘出。そのマウスの脾臓中の食細胞(好中球やマクロファージ)を生産する顆粒球・マクロファージ前駆細胞(CFU-GM)数を測定すると共に、実験前の5日間、クロレラエキス50mg/kg を経口投与し、その影響を調べました。

低温状態という強いストレス下においてもCFU-GM数の減少を抑制

マウスを強いストレスにさらすと、大腿骨あたりのCFU-GM数が対照マウスと比較して約50%減少し、造血能力が低下することが明らかになりました。一方、ストレスを受ける前にクロレラエキスを5日間投与しておくと、このCFU-GM数の減少を大きく回復させることが確認できました(図1)。

研究報告・造血効果(3)
クロレラエキスは肉体的・精神的なストレスを与えて低下したリステリア菌に対する感染抵抗性や顆粒球・マクロファージ前駆細胞数を回復させました。 Brain, Behavior, and Immunity 22: 1056-1065 (2008)

【投与条件】
ラットに肉体的あるいは心理的なストレスを与えた後に感染症を引き起こす原因のひとつであるリステリア菌に感染させ、造血効果を確認するとともに、クロレラエキス200mg/kgを5日前から経口投与し、その影響を調べました。

ストレスの影響があるにも関わらず顆粒球・マクロファージ前駆細胞数が増加

ストレスから逃れられない条件で、ラットに肉体的(足の裏への電気ショック)や心理的なストレスを与えた後、リステリア菌に感染させました。その結果、24時間後に脾臓中の食細胞(好中球やマクロファージ)を生産する顆粒球・マクロファージ前駆細胞(CFU-GM)数は、ストレスを与えていない対照マウス群と比較して約半分に減少することが確認されました。この条件でクロレラエキスを投与すると、CFU-GM数が増加することが明らかになりました(図1)。

ストレスの負荷を受けていても免疫細胞から分泌される情報伝達物質を活性化

脾臓リンパ球の細胞性免疫(細胞性免疫ページにリンクさせる)の指標であるINF-γと液性免疫(液性免疫ページにリンクさせる)の指標IL-10の産生量を調べました。その結果、クロレラエキスを事前に投与した群では、ストレスの負荷を受けていてもIFN-γは減少することなく、増加することが明らかになりました(図2)。免疫機能を沈静化する役割の情報伝達物質IL-10はストレスを与えると増加し、クロレラエキスによって抑制されることも確認されました(図3)。

クロレラエキスの投与でマウスの生存率が上昇

クロレラエキスを投与しない場合には、ストレスの有無にかかわらずリステリア菌に感染したマウスの致死率は100%でしたが、ストレスをかけずにクロレラエキスを投与した場合には生存率が50%に回復しました。また、クロレラエキスを前投与し、逃避可能な肉体的ストレスをかけリステリア菌に感染させた場合では生存率が40%、クロレラエキスを前投与し、逃避不可能な肉体的又は心理的ストレスをかけリステリア菌に感染させた場合では生存率が20%という結果が確認されました。(図4)

研究報告・造血効果(4)
クロレラエキスは免疫細胞の造血活性を調節し、担がんマウスの抵抗性を高めました。 Nutrition and Cancer 62(8): 1170-1180 (2010) 

【投与条件】
マウスにエールリッヒ腹水腫瘍(ヒトのがん)を接種後、造血作用について調べると共に、クロレラエキス50mg/kg を接種10日前から経口で投与し、さらに3・8・13日後に、どのような変化があるのか調べました。

造血を促進するCFU-GMの増殖を確認

まず、50mg/kg 以上を投与すると、腫瘍接種後、延命効果があることが確認できました。正常マウスと比較して担がんマウス(がんを体内に持つモデルマウス)では骨髄細胞を生体外で8週間培養すると食細胞(好中球やマクロファージ)を生産する造血幹細胞(CFU-GM)の増殖が低下しましたが、クロレラエキスを事前に投与することによって正常マウスと同等まで回復することが明らかになりました(図1)。

免疫細胞から分泌される情報伝達物質IL-1αとIL-6の活性が高まる

骨髄細胞を生体外で培養すると、正常マウスと比較して、担がんマウスではリンパ球の増殖や分裂を誘導する因子IL-1αとIL-6の分泌量が低下しますが、クロレラエキスを事前に投与することで、正常マウスと同等まで回復することが確認できました(図2)。

クロレラエキスが血液細胞の生産を活性化するCSAを高める

正常マウスと比較して、担がんマウスでは血清中のコロニー刺激活性(CSA)や脾臓の単核球数が上昇しますが、クロレラエキスを事前に投与することでこの活性がさらに高まることが確認できました(図3、図4)。

クロレラエキスによってがん細胞を攻撃する脾臓細胞の活性が高まる

リンパ球の増殖や分裂を誘導して免疫反応を増強させる脾臓細胞のNK活性、IL-2、TNF-α、INF-γなどの情報伝達物質は腫瘍によって低下していきますが、クロレラエキスを事前に投与することで高めの値を維持し、腫瘍が存在してもその値が低下することはありませんでした。一方、免疫機能を沈静化させて過剰な攻撃を抑制する情報伝達物質IL-10は、腫瘍によって活性が高まりましたが、クロレラエキスを事前に投与した場合は同等の値を維持しました(図5、図6)。