現在、高血圧の患者数は4,000万人ともいわれています。これらのほとんどの患者さんは、遺伝や加齢に加え、塩分の摂りすぎ、肥満、喫煙、ストレスなどの生活習慣が大きく関連していることがわかっています。そのためしっかりとしたセルフケアが大切です。
高血圧は自覚症状があらわれにくいため放置しがちです。しかしその状態が続けば、狭心症や心筋梗塞、脳卒中など、命にかかわる病気につながりかねません。そこで、これまでの研究により著しい血圧低下作用が報告されているクロレラを高血圧の患者に長期間投与する臨床研究試験を行ない、さらにラットを用いた試験を行なうことで、クロレラの効果を検証しました。
Chlorella(筑後産)に関しての研究(第4報)
基礎と臨床14(12):191-200(1980)
【投与条件】
60歳以上の高血圧の患者(本態性もしくは腎性的老人性高血圧患者)15名に、チクゴ株クロレラを1日7.5g、錠剤の形で、降圧剤とともに7〜8年の長期にわたり摂取してもらって、経過を観察しました。
チクゴ株クロレラ投与の結果、15名全員の血圧が低下し、最高血圧は摂取前の20〜30%、最低血圧も20〜25%低下しました(図1)。
また、血圧上昇と関連の深い脂質代謝、コレステロール、中性脂肪、および悪玉コレステロールとほぼ一致した測定結果が得られるβ-リポプロテインは全員が摂取後に減少し、正常の範囲に回復しました(図2)。
さらに、血圧の調整に腎臓が大きくかかわることから、腎臓機能の指標となる尿中ナトリウム(Na)/カリウム(K)と尿中カリウム(K)/窒素(N)の検査値を調べたところ、両方とも基準値近くまで改善されました。また、体重についても15名中13名が減少し、肥満の解消がみられました。
これらの実験結果から、チクゴ株クロレラの長期摂取が、脂質代謝を改善するとともに腎臓の機能を保護し、肥満を解消させるなど、血圧上昇の原因をとりのぞく可能性のあることがわかりました。
高血圧自然発症ラットに対するクロレラ投与による降圧効果
1980年日本栄養改善学会
【投与条件】
高血圧自然発症ラットを使用し、基本食を与えたグループ(基本食群)、基本食にチクゴ株クロレラを添加したグループに分け、8週間飼育しました。
実験開始前のラットの最高血圧は平均160mmHgで、実験開始6週目には、基本食群で平均195mmHgまで上昇していたのに対し、チクゴ株クロレラ10%食群では平均181mmHgとなり、基本食群と比べるとチクゴ株クロレラの血圧上昇抑制効果が認められました(図1)。
また、クロレラから抽出したクロレラエキスを、ラットの体重100gあたり1日300mgずつ、4週間にわたり経口投与する実験を行なったところ、何も処置しない群と比べ、クロレラエキスを胃に投与した群では血圧の上昇が抑制されました(図2)。
白身魚粉、カゼイン(牛乳やチーズに含まれるタンパク質)、オキアミ、牛肉、大豆、クロレラエキスなどを分解し、ラットの静脈および経口投与して血圧を測定しました。
その結果、これらの分解物のいくつかに血圧低下作用が見られましたが、特にクロレラエキスは静脈に注射した場合、経口投与した場合のどちらにおいても強い血圧低下効果を示しました。同様に、血圧が正常なラットにも血圧低下効果が認められました。
この研究結果は、以下の文献に報告されています。
(参考文献)
高血圧ラットの血圧に対する数種のタンパク質源の分解物の効果
Japan Heart J.20:337-339(1979)