食事から摂った脂質は、体内でコレステロールや中性脂肪などになります。これらが多過ぎる病気が高脂血症(脂質異常症)です。LDL(悪玉)コレステロールが多いと動脈の壁にたまり動脈が厚く硬くなり、中性脂肪が多いとHLD(善玉)コレステロールが減ってLDL(悪玉)コレステロールが増えやすくなるので、やはり動脈硬化の原因となります。
日本人の死因の第2位と3位を占める心筋梗塞や狭心症、脳卒中は、いずれも動脈硬化が原因の病気です。これを防ぐには、コレステロールや脂肪を多く含む食品を控え、排泄を促す食物繊維の豊富な食品と、体内コレステロール値を下げる緑黄色野菜や魚などを積極的に摂ることが大切です。そこで、高脂血症(脂質異常症)の患者にチクゴ株クロレラを長期にわたり服用してもらい、脂質代謝への影響について調べました。
高脂血症患者に及ぼすクロレラ長期投与の影響
1990年日本栄養・食糧学会総会
【投与条件】
対象は、クリニックに通院中の高脂血症(脂質異常症)の患者さんの中で、コレステロール低下薬を投与されていない患者さん11名。食事内容は変えず、チクゴ株クロレラを1日9gずつ錠剤として摂取。投与前6カ月間、投与開始後18カ月間の計24カ月間にわたり観察を行ないました。
コレステロール値は投与開始1~3カ月の短期間で低下し、長期投与により有意な低下傾向が持続しました。これは、チクゴ株クロレラを摂り続けることによって、コレステロールの低下効果が長期間持続することを意味しています。高脂血症(脂質異常症)の自覚症状が改善されるケースも見られ、長く摂取を続けても副作用は認められませんでした。(図1)
この高脂血症(脂質異常症)の患者に実際に摂取させた臨床研究において、厳しい食事療法を行なわなくても、チクゴ株クロレラの摂取により血中コレステロール値の改善が認められたことは、チクゴ株クロレラを高脂血症(脂質異常症)の食事療法に取り入れることの有効性を示しています。
ラットの食餌性高脂血症に及ぼすクロレラの効果
久留米大学医学界雑誌45(11),1130-1153
【投与条件】
高脂血症(脂質異常症)に対するチクゴ株クロレラの効果を検証する為に、正常なラットにチクゴ株クロレラおよび高コレステロール飼料を8週間与えた群と、チクゴ株クロレラを添加しない同飼料を与えた群で血中及び肝臓中のコレステロール値を測定。さらに脂質異常を発症させたラットにチクゴ株クロレラを摂取させた群と摂取させない群で、血中および肝臓のコレステロール値を測定し比較しました。
正常なラットに8週間の試験期間中、コレステロールの高い飼料を摂取させた群と、同じ飼料にチクゴ株クロレラを10%の割合で添加した飼料を摂取させた群における、コレステロール値の変化の比較を行ないました。この結果、チクゴ株クロレラを添加して摂取させた群においては、無添加の群と比較して血中および肝臓のコレステロール値の上昇が、8週間にわたって有意に抑制されていることが認められました(図1)。
また、コレステロール値の高い食事を与え、あらかじめ高脂血症(脂質異常症)を発症させたラットに対して、チクゴ株クロレラ無添加群と、クロレラを5%、10%添加して摂取させた群の比較実験でも、チクゴ株クロレラを与えた群の血中および肝臓のコレステロール値は、無添加群に比べ大幅に低下しました(図2)。
このようにチクゴ株クロレラには、コレステロールと同時に摂取する際に体内のコレステロール値の上昇を抑えるだけでなく、すでに発症した高脂血症(脂質異常症)に対しても、コレステロール値の低下に効果があることが明らかになりました。
コレステロール低下作用のメカニズムを解明するために、高コレステロール食を与えたラットにチクゴ株クロレラを与え、糞に排泄されたステロイド(コレステロールの総称)と、脂肪の吸収を促進する胆汁酸の量を測定しました。
チクゴ株クロレラを5%摂取させたラットの糞中の総ステロイド、総胆汁酸の量は、クロレラ無添加群と比較して図3が示すように有意な増加が見られ、チクゴ株クロレラがコレステロールや胆汁酸の体内からの排出を促進する効果があることが検証されました。