本来の動脈の血管は弾力や柔軟性がありますが、老化によって硬くなっていきます。動脈硬化は加齢以外にも高血圧、高血糖、脂質異常、喫煙などさまざまな原因が重なって進行します。なかでも主な原因となるのが、悪玉コレステロールです。動脈の血管の内膜にドロドロになったコレステロールが滞留し、付着して、内壁を狭め血流を妨げます。狭心症や心筋梗塞、脳卒中などは動脈硬化が引き起こす病気で、日本人の4人に1人はこれらの病気で亡くなっています。この動脈硬化を予防するチクゴ株クロレラの効果について、ご紹介します。
家兎の実験的動脈硬化症に及ぼすクロレラの効果
1979年日本動脈硬化学会
【投与条件】
チクゴ株クロレラの投与により動脈硬化の進行が抑制されるかを調べるため、ウサギに対し、高コレステロール飼料(コレステロール0.5%)と共にチクゴ株クロレラを摂取させて、その効果を検証。高コレステロール飼料に加えて、チクゴ株クロレラ1%、5%を投与した群と、代表的なコレステロール低下薬*を投与した群を、高コレステロール飼料のみ投与した群と比較しました。投与期間は20週間で、その間2〜4週間ごとに採血し、血中コレステロールなどを測定しました。
*抗脂血薬クロフィブレート
実験用のウサギに、高コレステロール食を与えて飼育した結果、すべての群において血中総コレステロール値が急上昇しましたが、8週目以降ではチクゴ株クロレラ投与群においては非投与群と比較して、血中総コレステロール値の上昇が顕著に抑制されていました。一方、コレステロール低下薬を投与した群では血中総コレステロール値の上昇は抑制されませんでした(図1)。
また、飼育終了後に主な臓器と大動脈をウサギより摘出し、動脈硬化の進行の程度を調査しました。まず、動脈硬化が起きている病変部の面積で比較したところ、クロレラ非投与群では大動脈の73%に動脈硬化の発症が認められました。一方、チクゴ株クロレラ1%群では40%、チクゴ株クロレラ5%群では43%と顕著に抑制され、コレステロール低下薬群でも47%で、チクゴ株クロレラ群とも大差はありませんでした。つまり、チクゴ株クロレラ群はコレステロール低下薬と同等、ないしはそれ以上の効果を示したことになります(図2)。
さらに、大動脈を部位別に観察すると、チクゴ株クロレラ群、コレステロール低下薬群ともに、特に胸部大動脈での動脈硬化の抑制が著しく現れていました。
この実験によって、チクゴ株クロレラの投与により脂質異常が改善されるとともに、コレステロールの多い食事によって引き起された動脈硬化症の進行が抑制されることが明らかになりました。