若い女性に貧血が多いのは、無理なダイエット、ファストフードやインスタント食品などによる栄養の偏りが原因として考えられます。実際、貧血と診断された女子高校生30名にアンケートをとってみると、朝食、昼食とも問題があり、緑黄色野菜が少なく、偏食によりたん白質も不足するなど、栄養バランスの乱れが見られることが分かっています。また、清涼飲料やコーヒーなどをよく飲むため、鉄分不足です。そこで、血液を作るために必要な栄養素が含まれ、これまでの研究により増血作用を促進させる働きが報告されているチクゴ株クロレラを普段の食事に組み込み、その効果を調べました。
高校女子生徒の貧血治療食餌にクロレラ導入の考察
1978年日本栄養改善学会
【投与条件】
貧血と診断された女子高校生30名(15〜17歳)を対象に、1日の貧血治療食にチクゴ株クロレラ10gを導入。対象を調査開始前のヘモグロビン(肺から全身へ酸素を運ぶ赤血球中のタンパク質)、赤血球数、ヘマトクリット(血液中の赤血球の体積。低ければ血液が薄いことを意味する貧血の指標)の値によりグループ分けし、4カ月後に血液検査を行ない、効果を判定しました。
調査実施前における、貧血と診断された被験者の血液検査では、貧血の指標であるヘモグロビン量、赤血球数、ヘマトクリットの値はすべて正常値を下回っていました。調査開始後4カ月間にわたり、チクゴ株クロレラを導入した貧血治療食を続けた結果、貧血を調べる血液検査値の基本となるヘモグロビン、赤血球数、ヘマトクリットいずれの値も増加傾向が認められ、正常値付近にまで改善されました(図1〜3)。
食事指導により栄養のバランスが良くなったこともあり、30人中25人の貧血が治り、貧血を治癒した割合は83%に達しました。
この結果により、チクゴ株クロレラの貧血改善に対する効果が、貧血患者における臨床研究によって認められました。